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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「恋愛病院 不倫病棟」 第三十五回

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「先生。先日は息子がお世話になりました。ありがとうございます」

「ああ、勇人君のお母さまですか。どうでしたか?」

「はい、息子がこちらにお邪魔して相談してきたと話しましたので、お礼に伺わないとと思って来させて頂きました」

「そのような気遣いは不要ですよ。それでお話されたのですか?」

「私はうかつでした。息子が何時も通っている場所なのに、そこで車から降りるだなんて。まさか早引きしたとも考えなかったので、少し早めの時間に彼に送ってもらいました」

「ええ?では本当に浮気をされていたのですか?」

「はい、息子には同窓会の打ち合わせで幹事の男の子に送ってもらった、と言いました」

「なるほど、それなら勇人君も納得しましたよね?」

「勇人はこう言ったんです。ボクは母さんが何しててもとやかく言う権利はないけど、やましいことだけはしないで欲しい、って」

「子供からしてみたらそうですよね。父親だって浮気しても良いというものではないし、母親なら息子から見たら絶対に浮気するような存在じゃないって思っていますからね。これからは十分気を付けて行動なさってください」

「先生は浮気をやめろとは仰ってくださらないのですか?」

「お止めになりたいのですか?」

「そういうわけではないんですが、ふつうこういう話をすると必ずもうやめろって言われると思ったものですから聞きました」

「他人にやめろと言われて止めるような人はもうやめていますよ。悩んでいるという事は後押しして欲しいという事ですから、止めて欲しいという事ではないんですよね」

「先生・・・私は彼のことが大好きというわけではないんです。何と言いますか、夫への仕返しみたいな気持ちがあるんです。お恥ずかしいですが、夫婦生活は息子が出来てからなくなってしまいました。夫に女が出来たからです。もちろん黙ってきましたが、もう自分は女じゃないのかって悩みました」

「そういう時に何かのきっかけで彼に誘われたのですか?」

「はい、その通りです。彼は中学の同級生です。同窓会の打ち合わせと言うのもまんざら嘘ではないんです」

「よく聞く話ですね。彼はあなたのことをどのように考えているのですか?」

「彼は奥様とは仲良くしています。そのことは私には気になりません。嫉妬しないのかと言えばうそになりますが、求めていたのは私の方でしたから」

「心のよりどころを彼に求めてその結果身体の関係になってしまったという事ですね?」

「そうなります。彼は何度もいいのか?って聞きました。私はどうかしていたんでしょうか?こんな自分じゃないって言い聞かせながらそれでも会いたいと思うんです」

「家族を大切にする気持ちを失わないようにされればご自分の気持ちに従って行動されても良いと思いますよ。女でいたいですよね?解りますよ」

鉄男の言葉は身に染みた。より自覚をもって慎重に彼と続けようと決心した。