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からっ風と、繭の郷の子守唄 第31話~35話

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からっ風と、繭の郷の子守唄(31)
「岡本と美和子は、一度だけ会ったことがある古い顔見知り」


 1時間後。混み合う店内で忙しく動いていたママが、厨房へ引っ込んだ。
「あれ、休憩かな」と思っていると、大きな器を片手に現れた。
4人のところへ挨拶へ、やってきた。
器には、新鮮で美味しそうな刺身の盛り合わせが並んでいる。

 「ありがとうございます。
 無理やり相席をお願いしまして、失礼いたしました。
 これは私からの、ほんの気持ちです。
 特に快く承諾をいただきました岡本さまに、心より感謝を申し上げます」

 「ママ。大げさにいわないでくれ。余計な気を使わないでくれ。
 そこまでされては、かえって恐縮する。
 それにしても美味そうだ・・・・、俺の好きな刺身ばかりが揃ってやがる。
 そうだな。この若いふたりのために、ボトルを適当に見繕って
 持ってきてくれ。
 若い2人は、なにも気にすることはねぇ。
 俺とトシで勘定はまとめて全部、面倒見てやる。
 遠慮しないで、ドンドン呑め」