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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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俺のフォルダだけは見せられない!

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野鳥フォルダの世界も、そして妻たちを閉じ込めたZIPもなくなっていた。

いくら探してもフォルダは見つからなかった。

あれだけ嫌っていたのに、うっとおしかったのに。
二度とみられないと思うと体は捜索を辞めなかった。

「いったいどこへ行っちゃったんだよ……」

もうフォルダ世界を作る気にもならなかった。
『ごみ』フォルダなんかに入れていなければ……。

「ごみ……ごみ箱……そうか!
 もしかして、フォルダ世界は削除されたのかもしれない!」

俺は地面に手をついてフォルダ作成を新しく作成した。
すると、ふたたび空に青いフィルターが現れた。

「あの青いフィルターはフォルダに反応するのか!
 だったら!」

俺は作りたてのフォルダ世界に入った。
それからすぐに世界がどこかに移動する震動を感じた。
まるでエレベーターでどこに運ばれるような。

震動が収まってからフォルダ世界を出ると、
あたりはフォルダ世界だらけになっていた。

「こんなにフォルダ世界が……。
 きっとここはゴミ箱の中か」

俺は山積みにされているフォルダをかきわけて。
『ごみ』のZIPフォルダを見つけ、チャックを開けてフォルダを解凍した。

現れた『ごみ』フォルダに上半身を突っ込んで、
フォルダ世界にいる妻に手を伸ばした。

「あなた! どこへ行っていたの!?
 どうしても聞きたいことが……」

「そんなのは後だ! いいから早くここを出るぞ!」

妻の手を引いて、親とともにフォルダ世界から脱出する。
それからすぐにゴミ箱フォルダの世界からも脱出する。

俺たちが脱出したすぐ後で
ゴミ箱に残っていたフォルダ世界は
跡形もなく削除されてすっきりした。

な、何とか間に合った……。

「あなた、どういうことなの?」

まだ頭に?マークが浮かんでいる妻を抱き寄せた。

「俺が悪かった。全部俺が悪いんだ。
 君のことなんて考えようともしなかった。
 自分の世界なんてもうどうでもいい。
 君と一緒に作る世界が俺の居場所なんだ……!」

「あなた……!」

妻も俺の愛に応えるように、強く抱き返した。

「私もあなたと別れてから、
 あなたの大事さがよくわかったわ」

「ああ、俺もだよ」

俺はこの家族を一生守りたいと心から思った。

                 fin.





「……そういえば、
 俺にどうしても聞きたいことがあるって言ってなかった?」

「ああ、それね」

妻の顔が一気に変わった。


「閉じ込められていた先に
 あなたの『不倫』『浮気』フォルダがあったんだけど
 あれはいったいどういうことかしら?」