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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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乙女たちの幻想曲 第1回 Secret Garden

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 彩は、西にある「あの庭」へ、やや急いで向かった。水音の最期の言葉の意味を知りたかったのだ。
 「あの庭」が近くなると、そこで何か明るく輝く縦長の物体が見えた。彼女はさらに速足で移動した。

 ついに「あの庭」に入ると、彩は大きく息をのんだ。何とそこには、全体に装飾がなく、襟ぐりの広い長袖の白いドレスをまとった恩田水音その人が立っていた。もちろん、頭にはあの花を挿して。
 その神秘的な姿を見て、彩は恐る恐る尋ねた。
「水音、水音なの?」
 彼女はほほ笑みとともに答えた。
「そうよ」
 答えを聞いて、17歳の乙女は小刻みに震え出した。

「おいで、もっとこっちへ」
 水音が、優しい声とともに手招きをした。彩の目には涙があふれ、体は一歩ずつ親友に近寄った。
 かなり近い距離まで来ると、水音は左手で花々を指して言った。
「ここは思い出の花園。あなたと私との思い出が花となって咲く園です」
「思い出の花園…」
 彩は震えた声で言うと、水音に顔を向けた。
「心がすさんだとき、この場所にいらっしゃい。私は必ずここにいます」

 彩は、右手で軽く涙をぬぐうと、確信いっぱいにうなずいた。


                             ― Fin ―