「恋愛病院 不倫病棟」 第二十八回
「まずですね彼女がどうしてあなたを誘惑したのかという事です。聞いていることがありますか?」
「はい、不倫をしていた男性に裏切られたと言っていました。男は信用できないとも嘆いていました」
「なるほど。それで一人でエッチを楽しむようになっていたところへあなたとの旅行があったのですよね?」
「タイミング的にはそうですね」
「きっと女性のあなたなら裏切らないという気持ちが芽生えたのかも知れません。気持ちよくなるというのは身体だけではなく気持ちにもあることですからね」
「精神的に癒されたいという思いの方が彼女は強かったのでしょうね。私の体が目的ではなかったと今は思っています。だとしたら余計に別れは辛く感じるのではないでしょうか?」
「かも知れませんね。彼女に一度会わせてください。私からお話ししましょう」
「お願いできるのでしょうか?なら嬉しいです」
早奈枝の言葉に真奈美は甘えた。
しばらくして彼女と言う女性が早奈枝を訪ねてきた。
「ご足労かけて申し訳ありませんでした。早奈枝です」
「いえ、真奈美さんから是非にと言われまして。志津と言います」
「志津さんはお幾つですか?」
「52歳です」
「私と同年ですね。恋をされる女性は皆さんお綺麗だこと」
「まあ、早奈枝さんに言われたら光栄ですわ。ところで要件とは何でしょうか?」
「真奈美さんのことなんですが、再婚話があることはご存知でしたか?」
「いえ、知りません。そうでしたか」
「ひょっとして何か気付かれていたのですか?」
「ええ、この頃彼女の態度が少し前とは違うなあと感じていました」
「ではお話ししやすいですね。あなたと別れることを非常に気にされていました。傷つけるんじゃないかと」
「本当ですか?嬉しいです。真奈美さんは私が一番苦しんでいるときに助けてくれた人です。彼女が幸せになるのなら私は大歓迎です。自分もそろそろこの苦しみから抜け出して再婚しようかとも思っているんです」
「良かった。取り越し苦労になって。あなたは素敵な女性ね。恋は女を綺麗にさせるけど、人としての優しさや思いやりも育ててくれるのよね」
「ええ、早奈枝さんもきっと素敵だと感じています。よかったらこれをご縁に時々お話させていただけませんか?」
早奈枝はこの時志津と言う女性に縁を感じていた。物語の続きは後日意外な形で。
作品名:「恋愛病院 不倫病棟」 第二十八回 作家名:てっしゅう