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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「恋愛病院 不倫病棟」 第十八回

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「うん、あなたが再婚を希望されない理由は、結婚に懲りたと考えているからですか?」

「違います。彼女とは出来ない、したくないと思うだけです。先生は女としてよい部分と人として良い部分は違うと思われませんか?」

「思いますよ。恋愛感情は日常生活に必要な生きる知恵ではありませんので、長く暮らすことへの指標にはならないですね、大好きという気持ちはです。
むしろ友達のような何でも話せて相談できる関係の方が私は重要な感情だと考えます」

「そうなんですよ。気遣い、機嫌を取って会っている時間は彼女が癒されても私には苦痛です。唯一セックスの快感だけが救いなんです。その部分は彼女と私の共有箇所です。相性の良いところは身体だけなんです」

「では、その部分にすら影が差してきたというのですか?」

「影と言いますか、疲れたというのが本音です。彼女には申し訳ないのですが、別れたいという気持ちが今は強いです。相談なんかしているというのは未練なんでしょうね」

「それなりに縁があって出会って深い関係になっているのですから、簡単にあきらめきれないですよね。浮気でもされた方が気が楽でしょう。その彼女さんが、あなたに対して離婚しないとはっきりと言ったことは何故だか解りますか?」

「ええ、多分夫の実家の財産だと思います」

「財産?正当な理由で離婚しないとお金がもらえないという算段でしょうか?」

「それもありますが、子供の将来を確定したいという事もあると思いますね。自分が引き連れて出て行って私と再婚しても幸せに出来るかどうかは未知数です。夫の家にいることでお金の不自由は全くないわけですから」

「気持ち的には離婚してあなたと暮らしたいけど、子どものためには家を出て行かない方が良いという判断ですね」

「はい、そうだと思います。だから、離婚すると言った言葉は全く信用できません。付き合った当初から私の中には彼女との再婚願望はありません」

「彼女さんが、すべて失ってもあなたのことが好きで一緒になりたいと言われても気持ちは同じですか?」

「裸一貫になってでも私と暮らしたいと言えばという事ですね?それは無いと思いますけど、彼女は自分の子供の将来を本気で考えるべきです。私にはそこは手伝うことは難しいですからね。自分の子供は妻を慕うでしょうから、それは解ります」

「なるほど。結論は出ましたね。はっきりと言われるべきですね」

「はい、気持ちが決まりました。ありがとうございました」

鉄男は早奈枝の顔を見て、これでいいよな?と言う顔をした。