「恋愛病院 不倫病棟」 第十五回
「実は年齢が5歳若くて、とても元気なんです。何度も求められて・・・恥ずかしいですが感じています」
「それは良いですね。身体が感じるという事は、女であることを強く意識出来ますからね。輝いて見えることにもつながります。遠距離の彼とは会わなくても満足されているといった状況になるのでしょうね」
「今はそうだと思えても、将来年下の彼は私より若い女性と付き合うようになって去ってゆくだろうという不安は強くあります。その点大阪の彼は気持ちがつながっている感じが強いので、会えなくても不安が無いんです」
「あなたにとっては今の環境は恵まれていると感じますね。近くにいつでも会えて身体を満足させてくれる彼がいる。心が寂しくなったら大阪の彼に会いにゆくなり、電話すれば癒される。贅沢な環境だと思われますが、いかがですか?」
「こんなことしていて私は良いのだろうか、って苛まれる時があります。でも60歳後半ぐらいまでは恋愛気分が欲しいと自分では思っているんです。いけないことと知りながら、続けて行こうかと悩んでいます」
「いけない事と思われるのは、ご主人に対してですか?大阪の彼に対してですか?」
「両方ですね。特に大阪の彼に対して強く感じています。先生、気持ちで満足してても体を求める私は欲張りなのでしょうか、それとも淫乱なのでしょうか?」
「ここに居る看護師の早奈枝さんに聞いてみましょう。どう思うかね?」
早奈枝は友紀恵の隣に座り話し始めた。
「私は友紀恵さんが淫乱だとは思いませんよ。私なんか誰とでも引っ付いちゃうけど自分で淫乱だとは思っていませんから。女であっても限りない欲望があって当然です。殿方には解らない身体の問題もありますしね。それにこの年齢だと先のことも考えますからね」
「早奈枝さん、おっしゃる通りです。主人との関係が無くなっている今は、彼との関係も年下男性との関係も自分には必要な相手だと思っています。けど、もし年下の彼が離れて行ったら、また探すのかと考えたら彼に対して裏切り行為のように思えて、自分が悲しいなあとも感じるんです」
「心と身体は一体です。どちらかが満足できないと不満になりますね。私は夫が十分満足させてくれるので、他の殿方とは軽い気持ちでスキンシップです。って最後まで行きますけど、スキンシップです。気持ちは楽しもうとする軽い感じです。深くなると嫉妬心が出るし、束縛もしてしまうので怖いです」
「そんな風に考えられるだなんて素敵ですね。男の方からすると我慢出来ないのでしょうけど」
「ええ、そうね。自分は他の女性としたいのに彼女には束縛する。そういう生き物だと考えて、大阪の彼とは今のままで、年下の彼とは別れるまでのご縁という事でいいのではないでしょうか」
「ありがとうございます。そうします」
友紀恵は満面の笑顔で病院を後にした。
作品名:「恋愛病院 不倫病棟」 第十五回 作家名:てっしゅう