意味を持たない言葉たちを繋ぎ止めるための掌編
無題
「困っている人がいたらさ、助けられるような人になりたいんだ。僕は 」
「そうね。その考えは素晴らしいと思うわ」
「でも、できなかったんだ。いざそうなった時に僕はすぐに動けなかった」
「難しいことだと思う」
「そんな時にさ、すぐさま行動に移せる人を僕はすごく尊敬するんだ」
「そうね。すごいことよね」
「自分よりも他人のことを思える、そんな人さ。彼らはきっと特別なんだろうな」
「あなたがそう思えていることもきっと素敵なことよ」
「僕はまだまださ。今度困っている人がいたら、助けてあげたい……。でもこう考えていることが、彼らとは違うんだと思う」
「どういう意味?」
「やっぱり、彼らは特別ってことさ。彼らには、気持ちよりも先立つものがあるのさ」
作品名:意味を持たない言葉たちを繋ぎ止めるための掌編 作家名:篠谷未義