意味を持たない言葉たちを繋ぎ止めるための掌編
路地裏の心象
路地裏にはさまざまなものが入り乱れている
錆ついた自転車 壊れた自動販売機
シガレットの吸い殻 吐き捨てられたチューイングガム
明滅を繰り返す豆電球 割られた電気看板
そのような 雑然とした路地裏の風景に
私の心は不思議と落ちつく 何故だろう
私の心象風景と 路地裏の風景が似ているからなのだろうか
路地裏に足を踏みいれると 私のなかに錯綜するあらゆる心象は
路地裏の空気と反応しあい 涙に滲む女の化粧のようにゆっくりと溶けていく
作品名:意味を持たない言葉たちを繋ぎ止めるための掌編 作家名:篠谷未義