意味を持たない言葉たちを繋ぎ止めるための掌編
俺さんの言葉 vol.1
「どっかの誰かが、お前のことをさ、『お前はただ現実から逃げてるだけだ。ちゃんと現実と立ち向かえ』とか言ったらさ、俺は必ずお前の前に現れて、お前の目の前でそいつをぼこぼこに殴ってやるよ。きっと二度と立ち直れないくらいにさ。それくらいにぼっこぼこにだ。なんでそんなことをするのかっていうと、俺はお前のことをちゃんと知っているからだよ。ちゃんとお前のことを俺はみているんだ。だってさ、お前はちゃんと現実を見てるし、ちゃんと現実と戦ってるんだ。どっかの馬鹿には分からなくてもさ、俺にはそれくらいは分かるんだよ。俺はめっぽう頭は弱いけれど、そういうことだけはちゃんとわかるんだ。東大だかなんだか知らないけれどさ、頭のいい馬鹿とは違うんだ」
作品名:意味を持たない言葉たちを繋ぎ止めるための掌編 作家名:篠谷未義