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ワタリドリ
ワタリドリ
novelistID. 54908
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太陽と宇宙の瞳 第1話 「この星に生まれて!」

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登場人物
影山まさる(かげやままさる)小学5年生の主人公(11才)。
5歳の時高熱を出したのが原因で頭や身体に障害が残る事はさけられたと医者から言われたものの、左の顔にまひに似た後遺症と多少の軽い知能の遅れが見られる。内気で友達もいなく、何をするにもゆっくりのせいか、クラスでいじめにあっている。物思いにふける趣味を持ち寂しさをまぎらわすように心のバランスを保っている。
物語はまさるのN、ナレーションによって展開が進められてゆく。

影山幸代(かげやまさちよ)(45才)
まさるの母親。パテシェアになるのが夢で学生の頃は製菓の専門学校に通っていたが早朝出勤の職場が多くて、低血圧の事もあり身体がなかなかついていけなかった為、卒業後はあてのないアルバイトやパートを転々と続けていた。体調によって浮き沈みの激しい性格で頑固な面も持つが落ち込むととことん崩れ落ちる純情な心の面もある。仕事返りにたまたま寄ったお菓子屋、従業員の正秋(まさあき)と出会い、優しさに惹かれいつのまにか常連になっていてある日プロポーズをされて32才の時、結ばれることに。持病の体質で子供は産めないかもと医者から言われていたが頑固に押し切るように34才でまさるを産んだ。高校の頃からの親友、ゆりかとはずっと仲良しで今でも友情を超えたかけがえのない存在の仲にある。

新谷ゆりか(しんたにゆりか)(45才)
幸代の高校時代からの親友。卒業してからも、いろいろと幸代のささえになってくれている頼もしい存在。おしゃれ好きで茶髪で肩まで伸びる髪を後ろで束ねて見た目は上品な女性にうつるが、かなりの男勝りで馬のあうデザイナーの学校で知り合った雑貨デザイナーの夫と20の時に結婚していたが、手がかかる子育ては夫婦そろって苦手だと言ってずっと2人でたびたび旅行に出かけたりと毎日を楽しんでいるようだ。基本的に楽天家な性格でまさるの事を実の弟のように可愛がっている。

影山正秋(かげやままさあき)(49才)
まさるの父親。存在感は薄いがメガネをかけたお酒好きの笑顔がいつもどこか安心させるような不思議なオーラを放っていて、お菓子開発の仕事で試食もしてるせいか体系もぽっちゃりしていた。暮れの会社の忘年会で酔って誤って階段から転落して亡くなっている。




第1話 「この星に生まれて!」

まさるのN
星達が無数にまたたく暗やみの宇宙の中を僕はゆっくりと上昇してゆきます。
それは意識的にか誰かに誘導されているかのような不思議な感覚
しばらくすると暗やみの上空に点のような白い光りが見えてきて辺り一面に
あったはずの星達がその光りに吸い込まれるように消えてゆきました。
実際は光りの反射で見えなくなっただけなのかも知れません。
こっちだよと招かれるように僕も本能的に足先をバタ足のように動かして進んでゆく。
まるで海面に向かって泳いでゆくように・・・。
ここは深海からつながっていた宇宙だったのか?それでもなぜかとてもあたたかい。
気のせいか光りの方に近づくにつれてだんだんと息苦しくなってきた。
でもいつのまにか意識がもうろうとする中、そんな僕を助けてくれるかのように
背中をしきりと押してくれている誰かの暖かい手を感じました。
もう少し もう少し、僕もその誰かの想いに応えるように最後の力を振り絞ると
宇宙の外のまばゆい光りの中へと飛び込んでゆきました。
しゅんかん心地よい冷たい酸素を感じたのと同時に力を出しきった僕の意識は
遠のいていった・・・。

真っ赤に燃えるような太陽がジリジリとアスファルトを照らす真夏日の昼下がりに
僕は生まれた。


(マンモス団地12階(最上階1201号室、影山家)の一室の台所。深夜、幸代とゆりかが飲みあうように話し合っている。)

(ゆりか、テーブルでビールを飲んで説教じみたように・・・)
ゆりか
「幸代。このさいだから再婚しちゃいなよ・・・。」

(幸代、鍋をかき回しながら。)
幸代
「そんな簡単に言わないでよ。まさるにあんな事があったばかりで、気持ちの整理もついていないのに・・・。」

ゆりか
「幸代ひとりのせいじゃないよ。小学校のいじめなんて、今じゃ毎日のようにネットやテレビで耳にする時代なんだし・・・。それにあんただって慣れないパートの仕事で毎日職場でけむたがられているんでしょ。だんなが亡くなってまだ半年もたってないのに。」

幸代
「いつまでも、過ぎた事をぶちぶち言ってるひまなんてないわよ。マサルのこれからの進路の事だって考えないといけないし・・・。」

ゆりか
「生活保護とかは?今は母子保護法とかいろんな法律があるらしいけど・・・。」

幸代
「あんまりあてにしたくないわ。まさるには母親らしい所を見せたいの。身体が動くうちは。子供にとって母親は人生で最初に出会う先生なわけでしょ。負け犬の人生を送らさせない為に私がしっかりしなきゃ。」

ゆりか
「何、似合わないこと口走ってんのよ。だんなが死んでからずっとたましいの抜け殻のような顔してたくせに。寝てるまさるを背負って何度もベランダから落ちようとした所をあたしが必死に止めようとしてた事覚えてないでしょ。普通、心中するなら樹海かひとけのない絶壁とかでしょうが。(右ひじをまくって。)おかげであたしひじにあざつくっちゃったし。本当思い出すだけでぞっとするわ。」

幸代
「やめてよその話しは。感謝してるわよ、親友のあなたがいてくれて本当に良かったって。あたしとまさるが今こうして生きていられるのはゆりかのおかげだもの。」

ゆりか
「分かってるんだったら、もっと自分を大事にしなさいって言ってんの。まさるに障害があるなしに、やることなすこと変に考え込んだりしてるから、いじめの事さえきずけなかったわけじゃない。強い母親演じるのは大変だけどそこに魂がこもってなかったら人形と同じじゃん。そんなんじゃ子供に想いは伝わんないよ。大事な一人息子ならなおさらもっと現実をみないと・・・。第一あんたがぶっ倒れたりしたらシャレになんないじゃない。」

幸代
「(ゆでた枝豆を皿に盛りながら少し笑顔をみせて)ありがとう。あしたまさるとゆっくりと話してみるよ。学校の事も、言えるかどうか分からないけど再婚の事もね・・・。」

ゆりか
「まっ、あんたのそうゆう無茶苦茶な所好きだけどさ。高校の時から変わってないよね。」

幸代
「(得意げに)あたしはやるときはやるわよ。枝豆熱いけど。おつまみにちょうどいいんじゃない?」

ゆりか
「(空き缶握りつぶしてかなり酔ってる様子。)ついでにビールもう一本ちょうだい。」

幸代
「(いたずらっぽい笑みを浮かべて)あなたもほどほどにしないと、ビール腹がめだってきたんじゃない。このままじゃ旦那にあいそつかされて逃げられちゃうわよ。まあ、ショックで破裂しちゃえばいっきにやせるかもしれないけど。(*^_^*)」

ゆりか
「(真っ赤な血走った視線を向けて)ぶっとばすよあんた!(⊳Д⊲#)」

まさるのN
ゆりかさんとお母さんとは高校時代からの親友らしくて何かと困った事があればすぐに駆けつけてお互い相談しあえる仲だと聞いた。