忘れちまった悲しみに
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「生まれてこないほうが良かった」
それはひとつの呟きなのだろうか。
常識的な反応。
孤独からくるあらゆる強迫観念ににもかかわらずやってくる諦めの瞬間。
自殺する人には全てが許されるというけれども、生まれてこないことを選択する人には全てが可能なのではないだろうか。
だから空虚な悲しみにも嘘をつくような笑いにも、哀れみにも似た希望が生まれる。
これは中断の物語、七転八倒の断片、そして何よりも文章ではない。
救いくる優しさが凶器にしか変換されない世界で、悪を為すと誓うことの狂信さ。
たとえ勝つとわかっていても負けなければならない時が来るまで、悔し紛れの言い訳を考えよう。
作品名:忘れちまった悲しみに 作家名:karan