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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「恋愛病院 不倫病棟」 第十回

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鉄男と同じぐらいの年齢の男性が相談に来ていた。

看護師の早奈枝に呼ばれて院長室に入る。

「どうされましたか?年齢とお名前仰ってください」

「はい、浩二と言います。年は還暦になりました」

「そうですか。ではご相談は何でしょう?」

「母親の事なんです。85歳なんですが、入居した施設で好きな男性が出来たとかで、結婚すると言い出しました」

「お若いですね。認知症なのですか?」

「いえ、体は少し不自由していますが、頭はしっかりとしています」

「ならよろしいのではないのですか?」

「85歳ですよ、先生。お相手の男性は少し年下のようですが、入居先ではプレイボーイとか噂されているんです。母親は父を亡くして5年になります。もう忘れてしまったのでしょうか?」

「浩二さんは奥様が亡くなられたとしたらどうされますか?」

「私ですか?そうですね、再婚はしないと思います。子供たちの事もありますし、孫の事も考えます」

「女性と暮らすことはもうよいとお考えなのですね?」

「将来、身の回りの世話の事を考えると不安にはなりますが、子供たちが嫌がるのなら施設に入って世話になろうと思っています」

「ご相談のお母さまも子供が傍に居て暮していれば、そのような再婚したいなどと言われることは無かったと思います。施設への入居はご本人様の希望だったのですか?」

「いえ、母親が身体を悪くして今のようにやや不自由になると、私の兄が同居は難しいと言いましたので、私に尋ねてきました。母親は長く長男が父が元気な時から暮らしておりましたので、頼りにしていた様子です」

「なるほど。ご長男さんはどうして今まで暮らしていたのに、施設へなどと思われたのでしょう?」

「はい、たぶん義姉が同居に反対したと思います。彼女は生保の仕事を続けていますので親の世話を優先できないと考えたのでしょう。もちろん兄もまだ現役ですし」

「難しい問題ですね。経済的な負担だけじゃなく、介護の負担は精神的にそして肉体的にも大きな事ですからね。私の母親はまだ父親も健在で二人暮らしをしていますが、どちらかが亡くなったら、私が世話をしようと考えています。もちろん向こうが嫌がれば別ですけど。
どうしてそう考えるのか、解りますか?」