硝子文字
略奪の愛
通りすがりにあなたは僕の
僕はあなたのバラの花を手折ったように
あなたも僕もその花を
水の無いとても小さな花瓶に入れた
その入れ物はお互いがお互いを求めていたかのように
その空間に置かれた
光がさせば 恐れ
喉の渇きに耐えながら
月の灯りを見ては 朝を恐れた
あなたもぼくも
もう一つの部屋がありながら
まだもう少しと思い
その部屋のノブに手をかけようとしない
あなたも僕もお互いの肌に当てているこの手を
いずれその冷たいノブの感触に変えることを
ためらいながら
バラの香りに陶酔する