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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「恋愛病院 不倫病棟」 第九回

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「なるほど。私はご主人の浮気性は一過性だと考えますね。お金があって、地位があって、女性からちやほやされる年齢です。10年もすればおじさんになりますから、若い女性は相手にしなくなります。それに子供も大きくなって自分の後を継ぐという事も考えると、そのような大っぴらにバカなことは出来なくなります。今少し我慢されて、どうしても反省しないような人だったらその時に子供さんと相談して、離婚なさってもいいと思います」

「そうですか。それがいいですよね。私は今、子育てに夢中で、会社の仕事を終えると家の事しか考えられないんです。そのことで主人に迷惑をかけていると反省はしているのですが、気持ちはいっぱいいっぱいなんです」

「お子さんが小さいと皆さん同じですよ。だからと言って男が浮気してもいいという事にはなりません。子供は共通の宝物ですからね」

「そう思います。主人は息子をひどく可愛がります。きっと将来は自分の後を継がせたいと思っているでしょう。それもまた自分が離婚に踏み切れない理由の一つなんです」

「息子さんの将来を考えると、ご主人の会社を継がせる方が良いと美咲さんも考えておられるのですね?」

「そうです。小さい会社ですが、今は安定していますし、収入もきっと同じ年齢の一流企業で働くより多いと思いますから」

「それでは、息子さんも次期社長となったほうが母親としても嬉しいですよね。まあどんなに長引いてもきっと息子さんが社長になったら、その事務員はクビでしょう」

「クビですか?そうですね。でもその頃なら私もそんなことどうでもよくなっているかも知れません。関心は夫より息子でしょうから」

「母親は息子のことになると強いですからね。息子も母親の味方です。ご主人もきっとあなた方の前に頭を下げて謝る日が来ますよ。その時に許せるかどうかお気持ちを確かにされると良いと思います」

「息子にすべてが移譲されるまで主人は今のままで良いと思います。二人になって、心から反省していれば、私はやり直そうと考えられると思います」

「その時が来ることを私も願っています。男は一時子供じみたことを偉そうにやります。自分が間抜けであることを気付けるかどうかですが、多くの家庭では浮気しても仲直りして老後を暮らされています。
結婚とはお互いの良いところ、悪いところを理解して一生仲良く暮らして家族を作ると約束することです。
一時の不満は耐え忍んで、将来の幸せの代償と考えましょう」

「はい、先生。ありがとうございました。決心がつきました。妻として、母親として、家族と会社を支えてゆきたいと思います」

「うん、そうです。美咲さんは女の鏡だ。久しぶりに感動しましたよ」

にこやかな顔で美咲は病院を後にした。