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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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はてしなくきれいな町へ

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市長は激怒した。

「この町の風紀は乱れています!
 どうして人間への標識はないんですか!?」

道路には道路標識があるのに、
人間に向けての標識はどこにもない。

モラルだとかマナーだとか、
あいまいな物ではだれも守りはしない。

「私はこの町を最高の街にしてみせます!
 今度からこの町はネガティブ禁止です!」

市長の命により、町に標識が建てられた。

ネガティブな会話をすることで町の空気が悪くなり、
ひいては町の治安が悪くなることを防ぐために。

すると、市長の狙い通り町は健全になった。

「やった! やっぱり私は正しかったのね!
 この調子でどんどん町を良くしていかなくちゃ!」

市長はがぜんやる気を出して、
町にさまざまな標識を立てることにした。

「そこ! 食べ歩きすると町が汚れます!
 ルールを守ってください! 食べ歩き禁止です!」

「町で走らないでください!
 危険なうえ、せわしない行動は禁止です!」

「大声を出さないでください! 下品です!
 この町にいる以上はルールを守ってください!」

市長が町をよりよくするため動けば動くほど、
ルールを破るような人が増え始めた。

「あんな小姑市長に従えるかよ」
「ルールは破るためにあるんだぜ」
「守らなくても見つからなきゃいい」

市長の頑張りと反比例して増える反逆者に悩んでいた。
このままではせっかくの町の風紀が乱れる。


「今後、標識を守らない人は死刑にします♪」


市長は今後ルールを守らない人間をことごとく死刑にした。
結果、標識を破るような不届き者はいなくなった。

「ようし、この調子でどんどん町をよくしていこう!」




町に標識があふれかえったころ、新しい人がやってきた。

「ようこそ、私の町へ。
 ここでは人を不快にする要素がゼロのきれいな町なんです」

「たとえば?」

「鼻息がかかると不快なので、呼吸は禁止。
 食べる姿が下品な場合があるので、食事も禁止。
 不潔なので排せつも禁じている、とってもきれいな町なんです」

「それはすごい」
「みんな標識守ってくれているから、キレイなままです」

市長の話を聞いて、
一度自分の宇宙船に帰ると宇宙人は仲間に報告した。


「おい! 噂は本当だったぞ!
 宇宙人だけが住める、宇宙人のための町が地球にあった!
 地球人は誰もいないから安心だ!」

宇宙人たちは嬉しそうに人間に化けて町へ入っていった。