マッチ売りの・・・
マッチ、マッチ買ってください……」
冬の寒い夜、マッチ売りは必死にマッチを売る。
誰も足を止めるどころかかかわろうともしない。
「ああ……寒い……もうだめだ……」
マッチ売りは寒さに震え、人の冷たさに凍えた。
そして、マッチを1本すると火がともった。
見えてきたのは……。
「な、なんだこのアイデアは!?」
ばあさんの映像でも豪華な食べ物でもなく。
マッチの火で浮かび上がったのは、マッチのアイデア。
「こんなマッチはクソだ!
はやく商品改良しなくては!」
マッチ売りはすぐさまマッチの商品開発を急いだ。
まず、ライターより劣る"すぐ消える"点を解消した。
今度のマッチは一度火がつけば台風が来ても消えない。
「マッチいりませんか?
すぐに火がついて、あっという間に消せるマッチです!」
それでもマッチは売れない。
まだまだ商品改良が足りないに違いない。
再びマッチの火からアイデアを手に入れて開発を急いだ。
「これならどうだ!」
今度のマッチは異常な火力を実現。
このマッチさえあれば、ガスコンロが不要となり
世界の火力発電所をこのマッチ1本でまかなえる。
「マッチいりませんか? マッチ……マッチ買ってください。
これさえあれば、超省エネでガス代も激減しますよ」
それでもマッチは売れない。
すると、向こう岸では
劣悪なマッチを売る少女の前に長蛇の列ができていた。
「なぜだ! なぜ俺のマッチは売れないんだ!
こんなにも完璧で最高の商品なのに! 安いのに!」
マッチ売りの中年男は再び商品改良を進めた。