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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 最終章1.

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「私と祖母との関わり・・・運命を変えることの意味ですか。祖母はわたしに子供を育てる幸せを、自分の存在を通して教えたかったということなのですね」

「そうよ、きっとそう。あなたのおばあちゃんへの優しさがそうさせたのよ。どんなことがあっても美幸ちゃんを守ってあなたも長生きしないといけない。きっと先におばあちゃんはあの世であなたが来るのを待っているよ。その時は傍に父親としてあなたの夫としての幸一さんも一緒だから三人で仲良くできる。そうしたかったのよ」

幸一の魂がそう願ったのか、祖母の魂がそう願ったのか、自分の魂があの世に行ったら確かに三人で仲良く暮らせる。裕美子にとって美幸は娘であると同時に祖母なのだ。
現実の世界での時間の差はあの世では存在しない。
そこに居るか居ないかだけである。
関係は意識として残されるから裕美子は娘への愛情の強さを持ってあの世の祖母の魂と再会する。

鹿児島での生活は戦後も続けた。
大久保しづの息子は小さな箱に入って帰ってきた。それは中に名前の紙切れが一枚入っているだけのとても遺品と言えるものではなかった。
それを見て悲しさより悔しさがしづには感じられた。