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嘘と演技

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 六本木に着き、私は霧島と落ち合った。二人で彼女の高校に向かいながら、
「で、どんな情報を得たんだ?」
「本条さくらさんの高校内でいじめがなかったかさぐってまして」
「いじめ?いじめがあったのか?俺はさくらさんの友達とずっといたが、そんな話一度も聞いてなかったぞ」
「いえ、あったかどうかははっきりした証拠はないのですが、問題はそこにあるのではなく、やはりいじめに関した事ですが、その学校の対応にありまして」
「いじめを放置している杜撰な対応とか?」
「いや、その逆なんです。対応が良すぎるんです」
「言ってることがよく分からないんだが」
 霧島はこう言った。
「まず、私は東京英和で過去にいじめがなかったか調べました。最近ので2007年2008年、これは本条さくらさんがまだこの高校に編入する前にあったいじめですが」
「彼女編入生なのか?」
「そうです。高校1年の夏ですのでほとんど普通の学校と変わらないのですが彼女はその一年の夏演劇部の部活動に入り一か月もしないうちに辞めているそうです。その後は民間のサークルに入ったそうで、まず私はこの部活内でいじめがなかったか疑っています。話は戻りますが2009年2010年にあった過去のいじめですが、どれもぞんざいに扱われ、学校側も真剣に取り組んでくれなかったのです。いじめが放置されていて」
「なるほど放置か」
「しかし本条さくらさんがこの学校に編入してから、彼女は一度この部活動に入り辞めました。そのあとすぐ本条さんの父が学校へいじめがないかなど立ち入って聞いたそうです。こういった事は過去にもあったそうですが、いつも真剣に取り扱ってくれなかったそうです。それがどういう訳か彼女がいじめに対しては、ベテランの精神保健福祉士であり、看護師であり、教育カウンセラーである者を、配置することになり、さくらさんのいじめが起きぬようまるで学校総出でこの問題に取り組んでいるんです」
「確かに不自然だな」
作品名:嘘と演技 作家名:松橋健一