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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 敗北と幸一の運命 8.

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「磯村中尉殿、万歳!」

そう叫ばれて、自らも「天皇陛下、万歳!」と発生し、眼下の立ち並ぶ兵士たちに敬礼をした。遠くで見守っている妻と美幸の方を見て、「いってきます」と小声でつぶやくと、滑走路から機体を揺らすことなくなめらかな離陸をして、基地を数機の友たちと後にした。
快晴の鹿児島湾を後にして、一路沖縄方面へと進路を取っていた。

「中尉殿、右前方から敵機来襲!自分が向かいます。高度を上げてそのまま飛行を続けてください」

そう無線が入ったのは、先頭を飛んでいた部下だった。

「おれが行く。お前たちは左に旋回して高度を上げて迂回しろ。任せておけ。何機だ?」

「はい、目視では三機に見えます」

「そうか、やっつけてやる」

アメリカ軍のグラマンが幸一の目に入った。最新鋭のF6F戦闘機だ。旋回性能で零戦を上回っていたが、幸一はいったん高度を下げて敵が突っ込んできたところを急上昇から反転して後ろに回った。それは完全に整備された零戦と幸一の腕前がそうさせていた。
両翼の20mm機関砲が火を噴く、あっという間にグラマンは着弾し火を噴いて墜落した。