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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 敗北と幸一の運命 8.

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裕美子は周りにいた陸軍の兵士たちから特攻作戦の成果を聞かされていた。
その華々しい報告は自分が聞き覚えている史実とは違う誇大されたものだった。万歳と叫んでいる兵士たちに向かって、「ウソ」などと言うことは決して言えなかった。
それはもう夫に対しても言えない事でもあった。

大久保しづは息子が戦地から帰ってくるまでここに居てほしいと裕美子に頼んだ。離れがたい思いがあったのだろう。裕美子もすぐに帰る予定ではなかったのでその好意に甘えることにした。
修善寺の女将のところに電報を打った。しばらくは帰らないと。大久保家の世話になっていることも付け加えた。

空襲警報の中、裕美子は美幸の手を引いてしづと一緒に防空壕に入る。そんなことが何度かあって、季節は六月を迎えていた。
突然夫が基地から戻ってきて、一晩過ごすことになった。
しづは気付いていたのだろう。走り回って手に入れてきた焼酎を振る舞った。夕餉に並べられたこの時代豪華とも言える食べ物に舌鼓を打った。

「しづさん、本当に裕美子と美幸がお世話になっているようで感謝に堪えません。わたくしは日本軍人としてやっとご奉公が叶うことになりました。本日ここに来たのはその報告のためです」