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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 敗北と幸一の運命 5.

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「ご主人は奥様と子供さんのために命を張って任務を果たしておられると思いますよ。
その気持ちに応えてあげないとお気の毒ですよ」

「男の方はお国のためとか家族のためとか言って、命を粗末にしています。生きることがこの国の力になることをもっと考えて欲しです。生意気言いました。お許しください」

「大きな声では言えませんが、海軍は信じられないような作戦を実行しようとしているようです。それを思うとご主人はその任務のまさに中心におられると思います。奥様の不安なお気持ちはお察ししますが、今の日本はもうそういうところまで追い詰められているということです」

「ありがとうございます。わたくしにはすべて解っております。だからじっとしておれずにこの子を連れて鹿児島へ向かう決心をしたのです」

「そうでしたか。なかなかしっかりと意見を言われるので感心しておりました。お父様はどのような方なのですか?」

「亡くなりましたが、国会議員をしておりました」

「そうでしたか。それで学識がおありなのですね。美貌と学才兼備でますます羨ましい限りです」

「この時代にわたくしのような女性は必要では無いと考えたりします。父親は戦争には反対でした。理由は言わなくともみんな心の中ではそう感じていると思います。この国が進んでゆく方向をただすことは出来ませんが、自分の中の小さな幸せを壊されることには抵抗したいと思っているんです」

「小さな幸せを壊す?家族がバラバラになると言うことですか?」

「ええ、夫が戦死すると言うことは絶対に嫌です」

声を大にして言えることではなかった。