ヴァリング軍第11小隊の軌跡(仮)
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『お前か、オレを殺したのは』
市花は声の方へ振り向いた。
そこには殺した筈の敵がいた。
『恨んでやる』
物凄い血だらけで市花の方へゆっくりと歩いてくる敵。
市花は金縛りに罹ったようにその場で固まっている。
『オレの仲間がきっとお前を殺す、お前の仲間を殺す、お前がオレを殺したようにな…』
敵は市花の首にそっと両手をかけた。
そして持ち上げる。
……ああ、私は死ぬのかな?……
力が入り、首が閉まっていく感じが分かる。
そう言えば、あの時も苦しかったな…。
でもここで死ねるならあの時犯した罪もオジャンになるのかな。
いや、ならないか。
早く楽になりたいな…。
そう思った時、大轟音が響いた。
そして市花は夢から覚めた。
作品名:ヴァリング軍第11小隊の軌跡(仮) 作家名:鳶織市