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連載小説「六連星(むつらぼし)」第96話 最終回

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連載小説「六連星(むつらぼし)」第96話
「響。25歳の新たな旅立ち」

 響が簡易ステージの中央に立つ。
手を振りはじめると、場内の熱気が最高潮に達していく。
割れんばかりの拍手と、何度も繰り返される歓喜の声が響を包みこむ。
誕生日のおめでとうの大合唱は、係員の制止の声を完全にかき消していく。
自然に発生したウェーブが、官邸前の広場を何度も何度も往復していく。
歓喜の声は、収まる気配を見せない。

 「凄いわねぇ・・・・
 まるで、ジャンヌダルクが降臨してきたみたいです。
 テンションが、ヒートアップをし過ぎて、いつまで待っても収まる気配が、
 一向に見えないもの・・・」

 亜希子が、響の耳元にささやく。

(どうする響。折角だから、なにかひとことしゃべってみない?)

 後押しするように、亜希子が響の肩を前方へ押し出す。
当の響はステージの上で身体を固くしたまま、ひきつった笑顔を見せている。
茫然と立ちすくんだまま、手を小さく振るのが精一杯だ。