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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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みずみまきのおもいで

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あまりの蒸し暑さのために、明は寝付くことができなかった。節電のためもあり、エアコンは使わず、扇風機を使ってはいたが体に風を直にあてると体に良くないと思い、風は体の上を通るようにしていた。天気予報では今夜も熱帯夜であった。夕立があれば涼しくなるのだが、雨も10日間も降らない。明は畑のキュウリやトマトも気になっていた。証券マンだったが2年前に退社して、300坪ほどの畑を買い、そこで自給自足の生活を始めた。まだ独身であり、27歳であることも明に決断させてくれたのだろう。無論両親は反対した。1人ッ子であることもその理由であるかもしれない。無論明はこの生活を生涯続ける気持ちはなかった。金が金を生む証券マンの仕事に明なりに疑問を感じたからだ。
 野菜は売り物ではないが近所の方が形は変であっても買いに来てくれる。しかし、これほど雨が降らないと、近所の方に無駄足をさせていた。トウモロコシなどは身がまばらであった。明が食べるにはそれで十分だが、近所の方に分けることはできなかった。