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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「幸せの交換」 第十一話

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きっと夫の中では昨日からの嫌な思いが続いていたのだろう。仕方無いのかとも考えてしばらくはそのままそのことには触れずにいた。
こんな空気の悪さを子供たちが見逃すわけはない。息子が近づいてきて話しかけた。

「母さん、どうしたんだよ?顔色良くないし」

「そう?普通よ」

「ウソつくなよ。おやじと喧嘩したんだろう?」

「あなたにはお見通しなのね。さすがに息子だと言いたいけど、心配してくれてありがとう。お父さんはねお母さんのことが気に入らないのよ。女してるから・・・いい歳してって」

「そんなこと言ったのか?自分の妻がきれいで若くしていることが嬉しいって思わないのか?おれは母さんが自慢だよ。友達にもお前の母さん綺麗だって言われることが嬉しいから」

「泣けること言ってくれるのね・・・あなたがお父さんだったら良かったのに」

正直息子にそういう思いを感じた。親子って似るというけどこれほど違うこともあるんだと一人の男性として息子を感じた。

「おれが父さんに話すよ。だから早まって離婚とかするなよ。妹だって可哀想だからな」

「うん、ありがとう。大丈夫だから・・・ねえ?あなたそういえば彼女いるの?」

「なんだい急に。彼女って呼べるほどじゃないけど仲良くしている女友達はいるよ。親友の彼女に紹介してもらったんだけど、今は四人で会ってる」

どこかで聞いたような話を私は耳にした。これもこの親にしてこの子ありなのだろうか。

「今度家に連れてきなさいよ。可愛い子なの?まあ、外見じゃなく性格が大切だけどね」

「親友の彼女はめちゃ美人だよ。紹介してくれた子は普通かな。あまりおれに気が無いように思えるけど、友達だからそれでいいよ」

これもまたどこかで聞いたような話に思えた。