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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 開戦と子育て 5

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「裕美子さん、昨日ね役場からお達しがあって、お味噌とお醤油がこのあたりでも切符制の配給に代わったの。これからは節約して使うようにしてね」

「はい、わかりました。これからは何でも配給とか禁止とかになって行きそうですね。この前訪ねてこられた大日本婦人会の方も、隣組に参加して自分たちも戦争のお手伝いをするんだと話されていました。私はこんなお腹なので聞かされているように協力が出来ないことが残念です」

「裕美子さん、今はそんなことよりおなかのややを無事に産むことが先決だから、あまり気にしないでのんびりしてなさい」

「出来ればそうしたいのですが、この辺りにはアメリカ軍は攻撃してこないのでしょうか?それも心配です」

「ここは大丈夫よ。軍の施設も大きな工場もないから」

「そうですか。なら、戦争が激しくなってきたら、都内の子供たちの疎開先として迎えてあげてもよろしいですか?」

「疎開先?どういうこと?」

「はい、近く東京は空襲に遭い女子供は逃げる場所を作っておかないと危ないのです。防空壕があっても全員は入れませんから、小さな子供たちは田舎の空襲が無い場所へ疎開させることが必要です」

「なるほど。幸一さんのご両親を納得させた理由がはっきりとするということよね?」

「そう思います」