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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 開戦と子育て 4

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「旦那様から聞いていた話なのね?」

「知っていました」

「どういうこと?」

「夢に見たんです」

「そういう話ね。ビックリした。脅かさないでよ」

「女将さん、真実です。これから日本はアメリカとの戦争に入ってゆきます。正しくはアメリカ、イギリス、オランダとの宣戦布告です」

「あなたなぜ今まで知っていたのなら黙っていたの?」

「幸一さんと結婚していなければ、お話ししていたと思います。国家の重要機密だろうと、夫に疑いがかかるといけないと遠慮してきました」

「そう、信じるとして、どうなるのこれから?」

「夢を見たらまたお話しします」

「そんなことなの。がっかり・・・。それよりおなかの赤ちゃんずいぶん目立ってきたわね。予定日はいつになるの?」

「はい、四月中頃だと思います」

「今が大切な時期ね。あまり思いつめたりしないようにね。赤ちゃんのために今は過ごすのよ」

「ありがとうございます」

十二月八日午前十一時四十五分、天皇裕仁の名前で宣戦の大詔(たいしょう)が発せられた。
署名したのは内閣総理大臣兼内務大臣陸軍大臣、東條英機始め十二名。その中には商工大臣として岸信介の名前もあった。