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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 開戦と子育て 3

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幸一が真珠湾へと向かう空母の上で戦闘機発進の任務に就いている姿が想像された。
実戦は映画のようではないと強く思う。海に墜落してゆく戦闘機で、もし幸一が操縦しているのだとしたら、それは歴史には埋もれてしまう小さな犠牲者になるのだ。

考えていると涙がとめどなく流れ出していた。
幸一は胸を締め付けられる思いで強く抱きしめたが、心変わりするはずもないと空しい気持ちが裕美子の心の中に広がっていた。

夕方を迎えて幸一は米内と帰ることになった。
帰りの車の中で、裕美子から聞いた真珠湾攻撃の話を幸一は尋ねた。

「閣下、誠に大それたことをお聞きしますが、連合艦隊はハワイホノルルの真珠湾を攻撃すると言う計画を持っているのでしょうか?」

「少尉、それをどこで聞いてきたのだ?」

「妻が申しておりました。たわごとだとも思えず聞きただしましたが、夢で見たと言うのです。しかし、そんな夢を女が見るはずもなく事の次第が気になってしまったのです」

「うむ。少尉、これは絶対の機密だ。他言するな。五十六は軍司令部にアメリカと戦争をするときは先んじてハワイ真珠湾を奇襲し、南方のシンガポールを奪還する両面作戦を唱えている。今のところ中国大陸の米英軍を叩きながら、南方を支配する意見が強いが、開戦が決定的となったら、どう動くかはわからないと言うのが実情だ。お前はどう考えるのだ?」