天使の黒い羽根
もはや羽ばたくこともできない羽は
今にもちぎれそうで
裸足でさまよい続けた末に
たどり着いたのは
愛しいあなたの足元だった。
━━━ねぇ…あたしを見つけて。
こんなにあなたを愛してる。
あたしはもう天使なんかじゃない。
天使にはなれない!
涙でゆがむ顔。
ほどけた髪を乱して
何度も何度も呼びかけてみるのだけれど
あなたの目に映るのはあたしじゃないの。
あなたの見つめるその先に
えくぼの可愛いあの娘がいた。
あなたの高鳴る胸の鼓動が
はっきりとあたしにも聞こえてくる。
嫉妬…困惑…激怒…絶望…
封印していたものが溢れ出し
天使の羽はいつのまにか
心を支配するどす黒い感情と同化してしまった。
届かない想いは彼も同じで
ひとつ大きなため息をついたときに
あたしの心がはじけたの。