Hysteric Papillion 第16話
と言うと、薫さんは、にこーっと顔を崩して、まだスプーンをくわえたままだった私の両頬をむにーっと引き伸ばす。
「!?」
ちょ、ちょっ…何かうっとりした顔の薫さん、すっと顔を近づけてくると、コツンとおでこをぶつけて、『おどろいた?』とケタケタと笑い始めた。
「本当に、私何したんですか?」
「うふふ、教えてあーげない」
「薫さんっ!?」
「もう、昨日はほんと…」
「昨日はほんと…何があったんですか?」
「あーあ、昨日は君のおかげで眠れなかったのになぁ…」
「眠れなかった!?」
え…わ、私一体昨日何したんだろ…。
変なことしたのかな…昨日は妙に酔いが回ってたから、何も覚えてないっていうか、知らない間に寝てたというか…。
でも、その知らない間に変なことしてたんなら、かなり大問題のような…。
「君、すごくかわいかったんだから…」
かわいかった?!
これは、顔のこととかそういうことを示しているとも思えないしぃ…。
いや、別に自分がかわいいとかそう思ってるわけでもなくて…。
「だから、私、何したんですか!?」
「ふふふ、ひ・み・つ」
そんなぁ…。
その後も必死になって薫さんに頼み込んで、昨日の出来事を教えてもらおうとしたのに、ことごとく逃げられてしまった。
私は一体、薫さんに何をしたんだろう…。
作品名:Hysteric Papillion 第16話 作家名:奥谷紗耶