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連載小説「六連星(むつらぼし)」第81話~85話

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連載小説「六連星(むつらぼし)」第81話
「原発労働者の最後」

 医師の杉原から危篤状態の一報を受けてから、
山本が息を引き取るまで、わずか半日あまり。あまりにも、あっけない最後だ。
死因は原爆病では無く、『多臓器不全』と診断された。

 山本は長年、原発労働者として働いてきた。
日本全国の原発を転々と働らいたあと、福島第一原発で、ついに体調を崩した。
原発労働者として働いてきた期間は、20年におよぶ。
放管手帳(放射線管理手帳。原子力発電所をはじめとする各種原子力施設で
作業する従事者に対し、発行される手帳)に記載されている総被ばく量は
20年間で、50ミリシーベルト。

 原子力施設で、放射線業務に従事する場合、放射線従事者中央登録センターが
運営する、被曝線量登録管理制度に登録される。
登録と同時に、放射線管理手帳が発行される。
作業する者は手帳を常に持参し、放射線業務に従事する。

 手帳には、全国共通の番号がついている。
個人を識別する項目や被曝歴。健康診断。放射線防護教育歴などが記載される。
放射線業務に従事したあとは、かならず被ばく量を測定する決まりが有る。
被爆の数値は中央登録センターの電算機に登録され、一元的に管理される。