クローバー タイム
いつもなら、本を最後まで列べるまではPR用のダンボールは見なかったのだが。
この日は何か予感したのか、PR用のダンボールを開けたのだ。いや、ダンボールが中途半端に開封されていたのが気になったのだ。ダンボールを開けてみて中を確認した。
「あっ‥‥」思わず声を出してしまった私だった。
ダンボールの中に一緒に梱包されていたしおりをみて無意識に声がでたようだ。
「先輩!どうかしたんですか?」
本を並べていた後輩書店員が訝しげに私を見た。
「ごめん。何でもないわ!独り言だからぁ」と言った私だった。
仕事が終わってから、私の足は公園に向かっていた。また私の手に本の入った袋が下げられていた。私が公園に向かった理由は、本を読みたかったからだ。家に帰ってから読めばいいのに、気候のせいもあったかもしれない。夏場の午後6時はまだ明るくて、珍しく今日は風もあった。少しぐらいならいいだろう。ベンチに座って本を読んでみたかったのだ。