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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 舞い降りた天使 8.

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東京までの帰り道、車の中で磯村は裕美子のことを気に入ったと五十六に伝えた。それはそうであろう。いまどき東京中探してもこれほどのモダンで美人は居ないだろう。それは裕美子が居た平成という時代がいかに進化していたのかということの証明でもあった。

女将は裕美子に言い含めた。

「裕美子さん、旦那様の情けを仇にしてはいけませんよ。あなたがこれから生きてゆくのに磯村様はとてもふさわしい男性だと思いますからね。こんなご縁は望んでも叶うものではありません。そのことを十分考えてお返事しなさいね」

「はい、重々承知しています。磯村様はとても好青年だと感じました。しかしわたくしには不安があります。山本様にお話ししようと考えましたが、今度磯村様がお見えになられたときに話そうかと思っています」

「それは何かしら?不安なことって、戦争が始まりそうだって思うからなの?」

「はい、しかしそれは避けられないことです。この時代に男子は兵役をどのような方でも受けられるわけですから、磯村様だけが特別だとは思っておりません。海軍飛行科ということが引っかかるのです」