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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 舞い降りた天使 8.

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口火を切ったのは磯村だった。

「司令官とはどのようなお知り合いだったのですか?」

「はい、行くあてを失っておりましたわたくしを助けて戴き、こちらの宿にご案内戴きました。命の恩人というお方です」

「そうでしたか。司令官は海軍きっての、いや日本帝国陸海軍すべての希望の星です。このようなご縁を戴き自分は幸せ者であります。大久保さんを命にかけて守ると同時に幸せにする覚悟でありますので、お嫁に来ては戴けませんか?」

前置きもなく、様子をうかがうでもなく、突然求婚されて裕美子は磯村の人柄を実直な人だと感じていた。

「磯村様。わたくしは何のとりえもない二十八歳のだらしない女です。あなた様の常識にある世間の女性とは全く違います。しばらくは交際をしてそれを確かめられてから、再度お考えくださいませんか?」

「はい、では司令官にお許しを戴いて、こちらに時々お邪魔させていただきます。それでよろしいでしょうか?」

「はい、心得ました。勝手申し上げてお許しください。磯村様の真摯な気持ちは大変うれしく感じております」

五十六は女将に磯村が訪ねてきたら、裕美子を自由にさせてくれるように頼んで帰って行った。振り返って磯村は裕美子と女将に向かって敬礼をした。頭を下げて二人はそれに答えた。