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まひる@正午の月
まひる@正午の月
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LOVER'S GAME ~最悪の出会い~

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すると、いきなり手を引かれ、何かにぶつかる。
顔を上げるとそこには先ほどまでずっと黙っていた八雲青海がいた。
「なんでしょう?」
驚いて見上げていると青海は意地悪そうな笑みを浮かべる。
「お前、年齢は?」
不躾な質問の仕方に少しムッとしながらも「15です」と答える。
翠はアメリカで大学を卒業しているため、特別措置として一年飛び級している。
しかも誕生日が3月のため、まだ15歳なのだ。
嘘はついていない。
「中等部か。それはわかんねぇな。」
青海は勝手に中等部と勘違いして勝手に納得したようだ。
「本当にいいんですか。親が決めたとはいえ、男ですよ。」
翠は青海に感じた疑問をそのままぶつける。
「俺はいいよ、お前かわいいし。お前なら可愛がってやるぜ?」
可愛がってもらわなくともいいとでも言いたげに翠は顔を背けた。
こんな奴の婚約者なんて大金を積まれても家を追い出されてもごめんだ。
しかし、この状況下の中自分が断れる可能性は万に一つもない。
翠は大きくため息をついた。
「僕は自分だけを見てくれる人と結婚します。」
翠はきっぱり言うと腕を振り払った。
その少し強気な態度が青海のツボに入ったとも知らずに、翠は個室に戻った。


 戻ってみると食事が出ていた。
一応付き合いではあるので出されたものを食べるが、
内心ここまで豪華な日本食にありつけることに嬉しさを隠せなかった。
それは外見にも出ていたらしく、のちに北山に嬉しそうな空気が垂れ流しでしたよ
と突っ込まれてしまったくらいだ。
それを見て、翠の希望とは裏腹に青海をはじめ八雲一家に気に入られてしまった。


 食事が終わりお開きになるころ、
「それじゃあ翠君、縁談の話は進めていいかな?」
と八雲会長から切り出された。
翠は断るタイミングを思い切り逃してしまったようだ。
ここでハイということが母の希望なのだろう。
だが、一つだけ我が侭を言ってもいい気がした。
「僕は、生涯僕を愛してくれる人と一緒になりたい。
だから一つだけ、条件を出してもいいでしょうか。」
翠はあえて自分が断ることができる逃げ道を用意した。
「青海さん、僕はあなたについて全く知りません。
だから、僕をあの学校から見つけ出して、僕をあなたに夢中にさせてください。
そしたら、僕はあなたと結婚します。」
自分が男を好きになることはあり得ない。
それにあの節操なしの生徒会長が自分にだけ目を向けるなんてもっとありえない。
そう踏んで持ち出した条件だった。
「確かに、そこまでしないと青海は一生翠君だけにはならないかもしれないな。」
思いのほか会長が賛同したので、この条件はあっさり飲んでもらえた。
これで自分が男と結婚することはない。
そう安心した翠は学校へ戻っていった。


 「絶対に落としてやる」と青海が誓っていたことも知らずに。
                                   続く