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熾(おき)
熾(おき)
novelistID. 55931
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月のあなた 下(3/4)

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 日向は何度も喉を鳴らして、涙を流した。

――「○」か「×」か! 「○か×」かです! ――

 無意識なのだろうか。
 祇居の掌が背中に回されていた。

 自分は助かった、というように感じた。
 日向は、えさをもらった猫のように気だるげに喉を鳴らした。

 吸血という血なまぐさい行為をしている。
 男の人の喉を食い破るという忌まわしいことをしている。
 なのにわたしは安心して、まるで授乳をされているようだった。
 それは今まで味わったことのない。
 唇から始まるたしかな血の繋がりだった。