小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

Hysteric Papillion 第9話

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

ありすぎて、何が最初に口を割るかが、怖い。









そんな私の顔が異常に強張っていたのか、和美さんは、私の両頬に手を当てて、軽く撫でた。

唇が密着しそうで、薫さんとのことを思い出してしまって、ゴクッと息と唾液を飲み下す。

「…帰りましょうか?」

和美さんの言葉に、ギクシャクしながら何度もうなづいた時、カランカランと店のドアベルが鳴った。

こちらに流れ込む長い影が不意に目に入り、立ち上がる。

「…冴島」  

「そろそろお帰りの時間です」

『お嬢様』と小さく語尾につけて、スタスタとテンポよい音とともに、和美さんと私の元に近づいてきた。   

背が高くて、一見普通の大学生に見える、口うるさい私のお目付け役。   

冴島は、私の手を握り、また、同時に和美さんの顔をにらみつけるように、冷たい視線を送った。  

「…失礼」  

「ええ、さようなら、ナイト様??」   

この皮肉めいた和美さんの言葉に、冴島はいつもなら見せないような、こめかみの筋肉を少し引き上げたような顔を見せた。

一方の和美さんは、私に手を振りながら、同時に冴島をいたぶっているように見えた。

まるで、犬と猿、まさしく犬猿の仲というもの。   

この2人、やっぱり合わないのかな…。   

私のシリアスな心境に、ほんの少しだけパロディを加えてくれたエピソードだった。

作品名:Hysteric Papillion 第9話 作家名:奥谷紗耶