Hysteric Papillion 第6話
私は、ゴクンッと一口ビールを含んで、その微笑にゆっくりと目をむけた。
「あー…ちょうど、両親が亡くなったくらいと近いかなぁって思って…」
薫さんは、まるで自分のことのように、表情に影を落として、つぶやいた。
「…ごめんね」
「どうして謝るんですか?気にしてないですから、もう10年も前のことだし…」
それからは、あまり箸も進めず、たわいのない会話になっていった。
気にしなくていいって言ったのに、薫さんは、なぜか私に対して遠慮がちな態度を見せていて、少しだけよそよそしかった。
作品名:Hysteric Papillion 第6話 作家名:奥谷紗耶