Hysteric Papillion 第4話
そう言い切ると、今度はさすがに(人前なので)唇というわけにもいかず、唇のすぐ隣、だけど頬とも言えないようなところに軽く唇を押し当ててきた。
「☆★◎△!?」
「あ、またそんな奇声を上げる!!そんな声上げるんだったら、ここで舌入れてキスするわよ?」
「それだけはやめてください!!」
そう間髪を入れずに叫んだ私を見て、サディストな薫さんは、にんまりと満足というのが顔いっぱいに現れた笑顔で答えてくれた。
ヤ、ヤバイ…このままじゃ、完全にこの人のペースに乗せられてしまう…。
というよりも、この人に調教されてしまう?
とんでもない恐怖感にさいなまれながら、私は薫さんに引っ張られていった。
鼻歌交じりで、携帯電話なんかかけてる。
「Pretty Womanごっこっていう感じかな?」
何が楽しいんだか…。
薫さんの言うことに、私は相槌を打つことはなかった。
早く…ご飯食べたい。
無事で帰りたい…。
これが今の切実な思いだった。
作品名:Hysteric Papillion 第4話 作家名:奥谷紗耶