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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「幸せの交換」 第一話

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人は無いものをねだる。隣の芝生は青いと昔から言われるように、他人の持ち物は良く見えたりするのだろう。
幸せそうに見える仲睦まじい夫婦でも、根幹に潜んでいる淫靡な心がある日突然に表面化してくる。
それは、自分が叶えられなかった願望を閉じ込めてきたからだ。

平成十五年十二月、大阪のホテルで創立五十周年記念の合同同窓会が開かれた。
大阪市内では五つの指に数えられる進学校、淀川中学の第十五期から二十五期までの卒業生約三百人が揃う、創立されて初めての記念事業であった。

同窓会の案内が届いたのは半年も前だった。大人数のため幹事が早く人数を把握しておきたかったのだろう。
夫にパンフレットを見せて十五期の旧姓川野貴子(かわのたかこ)は参加したいと話した。
三十五年ぶりに会う友達は変わっているだろうなあと想像すると同時に、自分も昔とは違うとため息をつく。

その日から私はダイエットと美容に気遣うようにした。それを見ていた夫は何を思ったのか盛んに求めてくる。
これも我慢と声を殺して数分の身勝手な時間に付き合っていた。