「もう一つの戦争」 舞い降りた天使 6.
「兄が仲良くしていたので父は嬉しく思っていると信じています。私も結婚すれば旦那様の籍に入り向こうの親と同居する可能性が高いわけですから、自分たちだけで住むと言うのも長い目で見れば同居のタイミングがずれるだけだと思うんです」
「意外としっかりとした考えを持っているのね。いいお嫁さんになれたものを残念ね」
「え?結婚は諦めろと言うことですか?」
「今その時期じゃ無いと言っているのよ。戦争になったら男はみんな駆り出される。小さい子供残して戦地に向かうことも辛いことよ。一人でもそうしないでほしいと願う」
「女将さんは結婚されなかったのですか?」
「そうよ。旦那様が優しくしてくださっていたから、甘えて暮らしていた。気が付いたらこの歳だから、それも運命ね。子供が出来なかったことが良かったのか悪かったのか、息子が戦地に行くのは辛いだろうから、居なくて良かったと思うしかないわね」
「戦争ですか・・・出来ればやめてほしいですね」
「そうよね。しかし、男同士ではそういうムードでもないから本当に心配」
裕美子はこういうところで仕事をして自然と耳に入る軍人たちの会話を元に女将はこれから起こるであろうことを予期しているのかも知れない。そうだとしたら、裕美子は自分から話すことなどしなくていいと思った。
「意外としっかりとした考えを持っているのね。いいお嫁さんになれたものを残念ね」
「え?結婚は諦めろと言うことですか?」
「今その時期じゃ無いと言っているのよ。戦争になったら男はみんな駆り出される。小さい子供残して戦地に向かうことも辛いことよ。一人でもそうしないでほしいと願う」
「女将さんは結婚されなかったのですか?」
「そうよ。旦那様が優しくしてくださっていたから、甘えて暮らしていた。気が付いたらこの歳だから、それも運命ね。子供が出来なかったことが良かったのか悪かったのか、息子が戦地に行くのは辛いだろうから、居なくて良かったと思うしかないわね」
「戦争ですか・・・出来ればやめてほしいですね」
「そうよね。しかし、男同士ではそういうムードでもないから本当に心配」
裕美子はこういうところで仕事をして自然と耳に入る軍人たちの会話を元に女将はこれから起こるであろうことを予期しているのかも知れない。そうだとしたら、裕美子は自分から話すことなどしなくていいと思った。
作品名:「もう一つの戦争」 舞い降りた天使 6. 作家名:てっしゅう