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熾(おき)
熾(おき)
novelistID. 55931
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月のあなた 下(1/4)

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 蜜柑は少し大きく息を吸うと、小さく微笑んだ。

「ごめん、ちょっとほんと、むつかしくてややこしくて、ひとりでやっつけなくちゃいけないやつなんだ」
「うん。わかった」

 日向も小さく微笑んだ。それからすぐに自分の自転車の方へと走ると、鍵を外してスタンドをキックした。

「じゃあ」
「じゃあ」

 そう言ってすぐに、二人の少女は逆方向へと走り出していた。

「あ、おいお前ら…」

 健吾は止めようと思ったが、どっちを停めればいいのか分からず、取り残される。

「お前らなんやねん…?」

 残された健吾は首をかしげた。