月のあなた 下(1/4)
蜜柑は少し大きく息を吸うと、小さく微笑んだ。
「ごめん、ちょっとほんと、むつかしくてややこしくて、ひとりでやっつけなくちゃいけないやつなんだ」
「うん。わかった」
日向も小さく微笑んだ。それからすぐに自分の自転車の方へと走ると、鍵を外してスタンドをキックした。
「じゃあ」
「じゃあ」
そう言ってすぐに、二人の少女は逆方向へと走り出していた。
「あ、おいお前ら…」
健吾は止めようと思ったが、どっちを停めればいいのか分からず、取り残される。
「お前らなんやねん…?」
残された健吾は首をかしげた。
作品名:月のあなた 下(1/4) 作家名:熾(おき)