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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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1日6時間しかない世界で

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「よし、できた」

コールドスリープ装置の開発がついに終わった。
終わると同時に今日が打ち切られた。


>ご生活ありがとうございました!
>あなたの明日にご期待ください!


翌日も、俺に与えられた時間は1日6時間。
寝て起きてほぼ1日が終わってしまう。
テレビも見れなきゃ外にも出られない。

せっかく作ったコールドスリープ装置も
これではいつまでたっても売ることができない。

「……寄付、か」

俺は自分の日常時間延長をすることに決めた。


外に出ると、ちょうど暇そうに座り込んでいる集団が。

「あなたの日常を寄付してもらえますか?
 あなたが寄付すればこの活動はすぐに終わ……」

「ダメだダメだ!」

建物の前に座ってるだけのくせに!
そんな嫌がらせするくらいの日常はあるのに!

……と言いたい。

「そうですか……」

結局寄付をしてもらえないまま2時間経過。


>ご生活ありがとうございました!
>あなたの明日にご期待ください!

そして今日が容赦なく終了。



「やっぱり顔が原因なのか?」

イケメンに整形して再度寄付を頼みに行く。

「いや、顔だけじゃダメだ」

さらにお金もあげちゃおう。
これなら日常を寄付したくなるはずだ。

「そうだ! なんなら日常を返却すると約束しよう!」

返却はウソだけど。
あとで返却されると思えば、安心して寄付してくれるはず。



「ダメだ」


結果はまさかの失敗。

「え、明日になれば必ず日常時間を返却しますよ!?」
「ダメだ」

「どうして!?」
「今だからできることをしてるんだ」

「暇だから座り込んでいるだけじゃ


>ご生活ありがとうございました!
>あなたの明日にご期待ください!

俺の今日が終了した。



「……はぁ」

日常生活を取り戻すために寄付をしているのに、
結果的に日常をただ消費しているだけだ。

ふと、目の前にコールドスリープ装置を発見。

「そうだ。未来なら時間短縮がされているに違いない!
 きっと現代よりも寄付されやすいはずだ!」

未来の方が現代よりもさらに便利になって、
いろいろ時間短縮が発展しているにきまってる。

俺はコールドスリープ装置に入って5年眠った。

 ・
 ・
 ・

「ここが未来かぁ。なんだかぼろぼろだなぁ」

未来ならもっと発展していると思いきや、
建物のいたるところがぼろぼろになっていた。

さっそく通行人に声をかける。

「すみません、日常を寄付してもらえますか?」

「ああ! もちろんだ! 持て余していたんだ!」

食い気味で俺に日常を寄付してくれる。

「ワシの日常受け取っとくれぇ!」
「早く明日になってくれ!」
「もうこんな日常こりごりだ!」

「すげぇぇぇ! やったぁ!!」

またたく間に人が集まって日常を寄付してくれる。

きっと未来は時間短縮技術がありすぎて、
1日6時間は使い切れないほどの長さなんだ。

「いやぁ、大量大量」

寄付されまくった日常のおかげで
俺は1日100時間生活が1年もできるようになった。

ゲームして、本読んで、寝てもまだ使い切れない。
なんだってできるんだ。

「よーーし! 手始めになにしようかなっ!!」





「貴様、こんなところでなにやっている」
「えっ?」

軍服を着た人に連行された。

「さぁ、早く前線に戻るんだ」
「えっえっ?」

銃を渡され向かった先は戦場。


「いいか、今日から1年は戦争だからな!
 お国のために戦え! 逃げることは許さんぞ!」


俺だけ1日100時間戦争がはじまった。




>ご生活ありがとうございました!
>あなたの明日にはご期待しないでください!