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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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火サスの犠牲者に選ばれた!

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『火曜サスペンスの犠牲者に選ばれました!
 タイトル:未定
 場所:温泉宿』


通知が届いたのは昨日。
国民からランダムに選ばれる火サスの犠牲者候補。

自分だけは選ばれないと思っていた。

「で、でもこんなの知らんぷりすれば……」


火曜日。
ガタイのいい男がやってきた。

「田中さん、ですね」
「ええ」

「では行きましょう」

羽交い絞めにされて温泉宿へと連行された。
あまりの力の差に抵抗する気も失せた。

まるでこれから出荷される豚みたいだ……。


火曜サスペンス開始。


登場人物とごくごく普通の会話をする。
殺されるのは開始から1時間後。

「ああ、俺の命も残り1時間かぁ」

開始1時間では誰が犯人なのかわからない。
このままじゃ……。

「そうだ、探偵を殺して俺が探偵になればいい!」

俺は凶器をもって探偵のもとへ向かった。


どうせこのまま待っていても俺は殺される。
だったら探偵を殺し、俺が探偵として犯人を追いつめてやる。

俺は豚じゃないんだ。

「なっ、なんだお前は!」
「問答無用~~!!」



やった! やったぞ! 探偵を殺した!

これで火サスは探偵の席が空く!
俺が必ず犯人を追いつめてやる!!

すると、探偵の手から紙がこぼれた。


『火曜サスペンスの犠牲者に選ばれました!
 タイトル:未定
 場所:温泉宿』


「こいつも犠牲者!? 探偵じゃないのか!」

紙の裏にはさらに説明が書かれているのに気付いた。



『なお、登場人物は全員が犠牲者候補です』



火サスに探偵も犯人もいなかった。

いるのは犠牲者候補がでっち上げた犯人と、
自分の殺人を知られたくないニセ探偵の俺しかいない。

「やってやる……犯人見つけてやるよ!!」









「ママ、今日の火曜サスペンス面白そうだよ」
「へぇなんてタイトル?」


『火曜サスペンス劇場 ニート刑事・田中の事件簿
 ~ 湯けむり温泉宿の大量殺人事件 ~』