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私のオカルト考

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「ろうそくの科学」を書いたファラデーは19世紀の人だが、当時も怪しげな降霊術や交霊術が人気を博していた時代だった。ファラデーは降霊術のトリックを暴いたりして、そのような世相に対して常に批判的な姿勢を持ち、このようなものを人々が簡単に信じ込んでしまうのは、教育に欠陥があるのではないかと嘆いていた。それから1世紀半が経過しても、世の中は何も変わっていない。

百歩譲って、もし本当に人が死んだあと、幽霊となって人前に出て来られるとしよう。
もし自分がそのような立場になったとき、果たして見ず知らずの人のところに現れたいと思うだろうか。また、恨みを飲んで死んだとして、恨んだ相手のところに現れたいと思うだろうか。
幸いにして私は殺したいほど恨む相手はいない。だからそういう人の心境が理解できないのだ、と言われてしまえばそれまでだが、私が誰かを殺したいほど恨んでいたとしても、死んだあとにその誰かの前に現れて、「恨めしや~」などと言いたいとは思わない。
まあ、実際にそのような相手はいないし、死んだこともないので、想像の域を出ないのだが、私はきっと、どんなに誰かを恨んでいても、自分が死んでしまえば、そんなことはどうでも良くなってしまうだろう。
むしろ私は、別れ難い人、大切な人に会いに行きたい。そして、今までのお礼を述べて、きちんとお別れをしたい。そして、それができるのであれば、大切な人を見守りたい。こう言うのを、「草場の陰から」と言うのだろうか。
きっと多くの人が私と同意見であると、私は信じたい。
だから、もし幽霊などというものが存在するとしたら、それは私にとって、恐ろしいもの、忌むべきものではなく、親しいもの、懐かしいものであると思う。
作品名:私のオカルト考 作家名:sirius2014