私のオカルト考
幽霊の存在を証明するのもとして、しばしば『心霊写真』なるものを提示する人がいる。しかし、そんなものは誰でも簡単に撮ることができる。
例えば、一番分かり易いのは、体の一部が欠けた写真だ。
あなたが女性であれば、膝丈のスカートを穿いて欲しい。(男性がやったら、別の意味で危ない写真になってしまう)次に、体の後ろに膝の高さよりも少し低い台を置く。そして、一方の足はまっすぐ延ばしたまま、もう一方の足を曲げてその台に膝をついて立った状態で、写真を撮って欲しい。
これで、片足が消えた写真のできあがりだ。
冗談ではなく、偶然にこうして撮られた幼女の写真が、心霊写真としてテレビの特番で紹介されているのを見たことがある。番組に出演していた自称「霊能力者」がこの写真を見て、悪い霊が足についているなどとほざいていた。これはもう、犯罪行為じゃないかと思った。
腕だって簡単だ。袖丈が肘まであるゆったりしたTシャツを着て、片手を背中に回す。このときの「こつ」は、背中に回した腕をできるだけ背中の上の方に置くことだ。
この状態で写真を撮れば、片腕が消えた写真ができあがる。
もっとひどい写真をテレビで見たことがある。
ホームの端に布製の薄い生地でできた白い手袋を置く。電車が入線してドアが開き、人が乗り降りしているときにこの手袋を撮影すれば、ホームに這い上がろうとしている何者かの写真ができあがる。このときは自称「霊能力者」が、「ここで電車に飛び込み自殺をした人の霊」なるものを透視していた。どうやったら、ただの捨てられた手袋からそんなものが見えるのだろう。ちょっと注意して見れば、全体に妙に皺が寄っているし、爪が無いことが分かるのに。
作品名:私のオカルト考 作家名:sirius2014