小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

お母さんVSカエル。

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

とイライラしながらかかって来たのに、嬉しい悲鳴に変わって行った。
『あらそう…。カエルのご夫婦にもう会えないのは残念…。』
と私が言うと、
『何が残念よ~。全然残念じゃない!!お母さんはメダカを守ったんだからね~。』
と言われた。
『じゃあ、メダカさんたちは平和になって良かったね。』
と一応言った。
お母さんはとても嬉しそうだった。

それから二日後くらいに、お母さんから暗~いトーンで電話がかかった。
電話に出ると、先ずはお母さんのため息からだった。
『はぁ~。…カエル…帰って来てる…。はぁ~。』
落ち込みようがハンパなかった。
『えっ?!カエルさん帰って来たの?!遠くまで捨てに行ったカエルさん?!』
と聞くとお母さんは落ち込んだまま肯いていた。
『でもあのカエルさんか分からないよ…。違うカエルさんかも…。』
『違わないっ!!同じカエル…。しかも、お母さんが遠くまで捨てに行ったからかふてぶてしさに拍車がかかって、逃げなくなった…。なんか目が、“よくも遠くまで捨ててくれたなぁ~。”みたいな目をしてるの…。戻ってくるまでの道のりに何かあったのかなぁ~。恐ろしい目にあったとか…。あーーー、これでお母さんの白メダカ全部食べられるーーーっ。』
とうなだれていた。
『あーあ。お母さん、しょうがない…しょうがないよ。負ける時は負けるの。仕方がない…。諦めよっ!!カエルさんの勝ち。字の如く、カエルさんて帰って来るって分かって良かった良かった。』
と私が言うと、
『あっ、だからカエルって付いたのかなぁ~。』
とお母さんが言い出して、何故か二人でそういう事かも…と話がそれて行った。

そんな事が数年続いて、そして今年…。
私がお母さんのところに帰っている間に、あのカエルなのか、その代々の子どもなのか…、それは分からないけど、初めから睨みの利いたカエルが六月初め頃登場した。
逃げる気もないらしい…。
どうして気付いたかというと、メダカの卵チェックに行った時に草が動いて、その辺を見たらカエルがいたのだ。
草を伝って器に入ろうとしていたようで、後もう一歩で水の中というところで私が登場してしまったようだ。
申し訳ないと言いそうになったけど、なっただけで言わなかった。
『メダカさん食べたらダメ~。お母さんに怒られるよ。』
と言いながら、手で追いやった。
一応は逃げたけど、十センチほどの距離を一回ジャンプしただけだった。
目はこっちを見てるように感じた。
私も睨まれる的の一人かもしれないとその時思った。
こうなっては、カエルさんとの友好を築くかお母さんの肩を持つか…私は悩んでしまう。
みんな仲良くと私は思うけど、受け入れられないという人が一人でもいたのなら、どうしてもそれが答えとなってしまう。
まっ、それはお母さんなのだが…。
まだその時は一匹しかいなかった。
その一匹が旦那さんか奥さんかは分からないけど、一匹だった。
器の何処にいようが、こっちを睨んでいる。
もっとニッコリ出来ないもんかねぇ~なんて思いながら、メダカに餌をあげる。

それからしばらくして、…あれっ?!メダカの数が減ったような…。
でも気のせいか…。
しかしそれは気のせいではなかった。
一週間ほどでメダカの数が十二、三匹から、六、七匹になっていた。
明らかに食べられている…。
死んでしまったメダカもいるだろうけど、一週間でここまで減らないだろう。
あのカエルとお会いしてからの一週間だから間違いないと思う。
早速お母さんにお知らせしないと…。
お母さんに伝えたところ、
『お~、今年もついに現れたか…。それで、もうメダカが減ってると…。ほぉ~。』
とイライラのアクセルがかなり入っている様子…。
そんな中、上(神様)が出て来た。
『カエルさんも食べて行かなければいけないのですね。』
と一言。
それを聞いたお母さんはムッとした。
そんなお母さんに上は続ける。
『ちゃんと卵を産んで、ある程度メダカさんの数が増えて、そしてカエルさんは登場するようですね。絶滅しないようにちゃんと出来てるんですね。』
と上が言うとお母さんは、
『あっ、本当…。』
と納得していた。
納得していたけど、自分のイライラを思い出し、
『いやいやいや、そうじゃない!!そうじゃない。カエルは絶滅してもいいの。…いや、絶滅したらダメか…。いやいや、お母さんのところのカエルは絶滅していいの。』
と勝手な言い分を誰に向けてか言い出した。
それに対して上は、
『お母さんが育てるメダカさんは美味しいのかな?!毎年カエルさんが来るということはそういう事かもしれませんね。』
と言うと、お母さんはイライラを隠すことなく、
『はぁ~っ?!何それ?!みんなと同じ餌ーっ!!その辺に売ってるーっ!!』
と上に向かってなのか叫ぶようにそう言った。
でも上はそれを無視して、
『生き物とは、生きるとは、そういう風に繋がっているのですね。なので、お母さんがどんなに頼んでも、カエルさんを何処かに追いやることは、私には出来ないのかもしれませんね。』
と優しく言った。
お母さんは、何かに気付いたようで、
『あっ、神様だから…、カエルをどっかに連れて行って~!!』
と叫び願い出した。
上は困りながら、
『う~ん、生きているカエルさんにも意志があるので、私がどうのこうの出来ないですね。生きている命をコントロールしてはいけないと私は思いますよ。…お母さんがしっかり蓋をするとか網を張るとかしてはどうですか。』
と言った。
それを言われたお母さんから罰が悪そうに、
『網か~…。面倒臭い…。』
と聞こえた。
上がため息を付き、
『なら仕方ありませんね。カエルさんはお母さんのメダカさんが美味しいので仕方がありませんね。』
と優しく答えてくれた。
お母さんからもため息が聞こえた。
上は続けて、
『白メダカさんの赤ちゃんがたくさん生まれましたね。』
と言う。
お母さんがだんだんと黙り出した。
私がいる間に白メダカは数十匹~五十匹ほどは生まれたと思う。

そして私は自分の家へと戻って来た。
戻って来て数週間後、お母さんから暗い電話がかかった。
『白メダカ…ついに二匹になった…。…お腹の大きなカエルがいる…。』
と負けた感をかなり感じた。
まだ六月なのにもうこんなにも負け試合…。
七月に入ったくらいに、今年生まれた白メダカを一匹器に追加したようだったけど、まだ七月だから…怪しさを感じる。
そして白メダカの赤ちゃんは百匹近くは生まれてると思うので、来年のカエルさんの分も含めしかっかりとある事は確かだ。
それをお母さんに言うとヒステリーを起こすので、まだ言ってはいない…。
お母さん対カエルはまだまだ続くようだ。