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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 舞い降りた天使 4.

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翌朝、五十六は幸恵を伴って迎えに来た車で出ていった。
車を見送りに出た裕美子と女将は頭を下げて礼をとった。雪はやんでいた。綺麗に晴れた青空が広がるであろうそんな予感の薄暗い早朝の修善寺であった。

「裕美子さん、旦那様からお手紙を預かっています。ご飯が済んだら片付けして読みなさい」

「はい、そうですか。わかりました」

自分の置かれた立場を理解してこの世界になじもうとした裕美子ではあったが、掃除も洗濯も料理も原始的に感じられて、これを続けるのかとすこし憂鬱に感じられた。
しかし、食事はとても口に合う。野菜も山菜も魚もそして肉も美味しいのだ。それほど味付けをしなくても食べられる。そのことを女将に聞いた。

「女将さん、聞いても構いませんか?」

「なに?」

「はい、このいま戴いた野菜と山菜ですが、今まで食べていたものより味が濃くて美味しく感じられます。特別に栽培されているというようなことはないですよね?」

「そう、どんなものを食べていたのか解らないけど、この辺りは少し高原だから気温の差があって、野菜なんかは美味しく育つのよ。街中にある畑なんかの野菜とは違うわよ」

「やはりそうでしたか。よくわかりました。お米も美味しいです。窯で炊くんですよね?コツが要りそうで教えてください」

「あなたお米炊いたこともないの?」