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ウソップ物語:黙っていたうさぎ

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「派遣隊を送ると最終的に決断したのは村長の私です。責めを追うべきは私でしょう」
 くまの奥さんは、涙を拭いて言いました。
「主人はいつも、村の役に立ちたいと申しておりました。たとえ、西の森に危険な人間がいると分かっていたとしても、村のみんなのために食べ物を取りに行く必要があるのなら、やはり志願して行ったでしょう。でも、鉄砲を持った人間がいると事前に聞いていれば、初めからもう少し用心したと思うんです。いつ、どうやって逃げるべきか、前もって考えておくことができたと思うんです。そうしたら、無事に帰ってこられたかもしれない……」
 村長さんは、はっとして、再びうさぎさんのほうを見ました。その目は、後悔の色を帯びて、とても悲しそうでした。
「くまの奥さん、もうすぐ村の葬儀が始まります。ご列席できますか?」
 若いくまの奥さんは、きつねの村長さんに付き添われ、その場を去っていきました。

 うさぎさんは、湖が見える小高い丘の、大きな木の根元に、ずっと座っていました。かつて、くまさんと一緒に座っていろんな話をしたその場所で、今、うさぎさんは一人ぼっちで、風に乗って聞こえてくる葬儀の音楽を聞いていました。

 僕はどうしたらよかったの?
 もっと早く、本当のことをみんなに伝えればよかったの?
 病気の父母や、弟妹たちのことは、どうすればよかったの?

 うさぎさんは、空を仰いで泣きました。声が枯れるまで泣き続けました。どんなに泣いても、親友のくまさんは戻ってはきませんでした。